園医から
※子どもたちの健やかな成長を願って!
2023年10月・11月合併号
赤坂 徹
※ 2023年(令和5年)8月・9月合併号のコラムをお送りできず申し訳ありませんでした。
1.岩手県から新型コロナウイルス感染症(コロナ感染と略)に関するお知らせ10月7日の岩手日報に掲載されたお知らせのうち「発熱など体調が悪い場合」の対応を紹介し、一小児科医の見解を申し述べます。
1)軽度の発熱や倦怠感などの場合には、まず、市販薬などを服用し、様子を見ていただき、感染の不安がある場合は、国から承認を受けた抗原定性検査キットで検査します。
2)自己検査で陽性になった場合でも、医療機関の受診は必須ではありません。
症状が軽い場合であれば市販薬を服用していただくなどして療養されるようお願いします。
⇒ 乳幼児では症状を的確に表現できないので、発熱があり、体調が悪くコロナ感染が疑われる時には抗原定性検査キットを実施します。陽性の場合、陰性でも体調がかなり悪い場合には市販薬を服用せずに、かかりつけ医にまずご相談下さい。
2.ワクチンで予防できる病気(Vaccine Preventable Disease:VPD)
コロナ感染の第9波が見られ、インフルエンザとの同時流行が心配されます。ワクチンで予防できる病気への対策に努めましょう。
1)ワクチンの意味
ワクチンはその作用、副作用が科学的に検討され、国が接種を認めたものです。集団生活の中で多くの人がワクチンを受けていると、その病気を防ぐことができます。皆さんで協力して予防しましょう。
2)ワクチンの種類
ワクチンには予防接種法で定められている「定期接種」とそれ以外の「任意接種」があります。下線のあるものは生ワクチンで、BCG(結核)は1回の接種、MR(麻疹、風疹)、水痘、流行性耳下腺炎は2回、ロタウイルスは2回もしくは3回の接種です。それ以外の不活化ワクチンは3回以上の接種です。次回までの間隔や別のワクチンとの間隔が決められていますので、お問い合わせ下さい。ロタウイルスは生後6週から1回目を始めるように、その効果や副作用に合わせて接種時期が設定されています。正しい知識を持って決められた年齢に決められた回数を受けましょう。
定期接種ワクチン:四種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ)、BCG、MR(麻疹、風疹)、日本脳炎、ヒブ(Hib:インフルエンザ菌b型)、小児用肺炎球菌、ヒトパピローマウイルス(HPV:子宮頸癌及びHPV関連疾患)水痘(みずぼうそう)、B型肝炎
任意接種ワクチン:ロタウイルス、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、インフルエンザ
3)新型コロナウイルスワクチン
新型コロナウイルスワクチンは基礎疾患を持つ小児に接種されます。基礎疾患とは慢性の呼吸器病、心臓病、腎臓病、肝臓病、糖尿病、血液疾患(鉄欠乏性貧血を除く)、免疫異常などを含みますが、詳細はかかりつけ医にご相談下さい。
3.乳幼児のうつる病気(感染症)といつまで休ませるかの目安
1)インフルエンザ及び新型コロナウイルス感染症における療養期間(出席停止期間)
令和5年9月28日付けで盛岡市医師会から「インフルエンザ及び新型コロナウイルス感染症における療養期間(出席停止期間)について」という通知が届いており、一部変更して掲載しました。受診して担当医にご相談下さい。
療養期間(出席停止期間)一覧
(※潜伏期:国立感染症研究所HP参考)
感染症 | ※潜伏期間 | 登園・登校基準 |
---|---|---|
麻疹(はしか) | 8~12日 | 解熱した後3日を経過するまで |
水痘(水ぼうそう) | 14~16日 | すべての発疹がかさぶたになるまで |
流行性耳下腺炎 | 16~18日 | 耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで |
風疹(三日はしか) | 16~18日 | 発疹が消失するまで |
百日咳 | 7~10日 | 特有の咳が消失するまで、又は5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで |
インフルエンザ | 平均2日 | 発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで |
流行性角結膜炎 | 2~14日 | 医師において感染の恐れがないと認められるまで |
急性出血性結膜炎 | 1~3日 | 医師において感染の恐れがないと認められるまで |
咽頭結膜熱(プール熱) | 2~14日 | 発熱、咽頭炎、結膜炎などの主症状が消退した後2日を経過するまで |
腸管出血性大腸菌感染症 | 10時間 ~6日 |
医師において感染の恐れがないと認められるまで 症状が始まり、抗菌薬による治療が終了し、連続2回の検便によって菌陰性が確認されたもの |
参考資料:学校において予防すべき感染症の解説 文部科学省(平成30年3月版) | ||
新型コロナウイルス感染症 | 2~7日 | 発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで |
2)幼稚園・学校で児童・生徒等や教職員の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドライン(令和5月改訂版)
幼稚園・学校で児童生徒等や教職員の事な感染が確認された場合、地域の感染状況等を踏まえ、迅速に対応するため、平常時から幼稚園・学校と保健所が連携をとり、初動体制について、あらかじめの整理しておくことが重量です。
① 幼稚園・学校で感染者が確認された場合の対応
幼稚園・学校で児童生徒等や教職員の事な感染が確認された場合は、園長・校長は感染した児童・生徒等について出席停止の措置をとります。感染者が教職員である場合は、病気休暇等の取得や在宅勤務、職務専念義務の免除等により出勤させないようにして下さい。
② 出席停止の措置及び臨時休業について
幼稚園・学校において感染症が発生した場合に、幼稚園・学校の全部又は一部の臨時休業を行う必要性については、通常、園医・学校医の助言等を踏まえて、幼稚園・学校の設置者が判断することになります。幼稚園・学校の設置者は幼稚園・学校内で感染が広がっている可能性が高い場合に臨時休業を行う範囲や条件を事前に検討し、公表しておくことが適切です。
【学級閉鎖】
① 同一の学級において複数の児童生徒等の感染が判明した場合
② 複数の児童生徒等の感染が確認された場合であっても、その児童生徒等の間で感染経路に関連がない場合やそのほか学級内の他の児童生徒等に感染が広がっている恐れがない場合については学級閉鎖を行う必要はありません。
③ 級閉鎖の期間としては、5日間程度(土日祝日を含む)を目安に、感染の把握状況、感染の拡大状況、児童生徒等への影響などを踏まえて判断します。
【学年閉鎖】
複数の学級を閉鎖し、かつ、学年内で感染が広がっている可能性が高い場合、学年閉鎖を実施します。
【幼稚園・学校全体の臨時休業】
複数の学年を閉鎖し、かつ、幼稚園・学校内で感染が広がっている可能性が高い場合、幼稚園・学校全体の臨時休業を実施します。