園医から

※子どもたちの健やかな成長を願って!
2026年2月・3月合併号
理事長・園医 赤坂 徹

 
寒い日が続きますが、3月は進級、卒園の時期です。
4月には新学期を迎えるお子さんもご家族も楽しみに待っておられると思います。
こども園・幼稚園と違って小学校では時間割や教室が決まっています。
普段の生活の中で起床、就寝の時刻を守り、睡眠時間を十分にとり、
きちんと食事をとることで排便のリズムが出来てきます。
簡単な家事を担当させると、自分が役に立っていることを知って自信につながります。
 

2025年11月に幼稚園保育園関連機関代表と盛岡市医師会との懇談会が開催されました。
そこでの質問・要望と回答の一部について解説します。
 
1.保育園・こども園・幼稚園での健康問題とその対応について

1)熱中症

暑い日に車の中に置いておかれたり、炎天下で長時間の運動をして水分を摂取しないと、めまい、頭痛、腹痛、嘔吐、だるさを訴えるようになる。悪化すると意識を失ったり、死に至ることもある。毎年6月には家庭庁から熱中症対策に関する通知が出たり、令和3年4月から開始された熱中症警戒アラート等の情報に基づいてガイドラインが作成されている。
 
2)中耳炎の治療などで抗生剤の服用により下痢が続いている時の対応

風邪等が原因で鼓膜の奥の中耳に細菌が入り炎症を起こし、発熱、不機嫌、耳痛を訴える。小児科や耳鼻科では抗生剤(抗菌薬)を投与するが、抗生剤による下痢は他児に感染させることはないので、全身状態が良好であれば自宅で静養することはない。
 
3)皮膚の問題

① 虫刺され
清潔な水で洗い流して冷却する。ハチ、毒ガ(ケムシ)など毒性が強い虫に刺された時に、気分が悪い、顔色不良、呼吸が苦しい、腹痛や嘔吐があれば、アナフィラキシーの可能性があるので医療機関を受診する。

② 伝染性膿痂疹(とびひ)
擦り傷(すりきず)、虫刺され、汗疹(あせも)、湿疹に化膿菌が入って水(みず)膨(ぶく)れができ、掻(か)き壊(こわ)した手で他の場所を掻くと、そこに水膨れが「とびひ」する夏に多い皮膚感染症である。皮膚を清潔に保ち、爪を短く切って、外用薬を用いる。さらに悪化した場合には内服または点滴による抗生剤を投与することがある。

登園を控えるのが望ましい場合は以下の通りである。
□発熱と共に発疹がある場合
□感染症による発疹が疑われ、医師より登園を控えるよう指示された場合
□口内炎がひどく食事や水分が摂れない場合
□発疹が顔面等にあり、患部が覆(おお)えない場合
□浸出液が多く他児への感染の恐れがある場合
□痒みが強く患部を掻いてしまう場合
 
4)発熱があった場合の解熱剤の使い方(使用原則)

① 解熱剤は医師に相談して使用する。38.5度以上の発熱が持続して一般状態が不良の場合、6~8時間の間隔を置いて使用する。むやみに連用してはいけない。

② 38.5度以上の発熱があった場合、次の24時間(疾患によっては48~72時間)に解熱剤を使用しなくても平熱が維持されるようになってから登園する。

 
2.感染症、流行時の対応

保育所・幼稚園では抵抗力や身体機能が未熟な乳幼児の特性を踏まえて、感染症の侵入や流行を最小限に抑えることを目的とする。症状が消えても病原体を排出する場合があるので、回復後もしばらく登園を控えるように保護者に依頼することがある。具体的な対応法については、こども家庭庁及び日本小児科学会のホームページを参照する。

 
3.予防接種について

日本小児科医会は予防接種の重要性、有効性から「医学的、年齢的理由がある場合を除いて、就園、就学までの間に必ず予防接種を受けておくこと」としている。予防接種は義務ではないので強制はできないが、予防接種をしないで入園した場合には感染源や流行のきっかけとならないように注意する。そのような保護者には、予防接種は個人を防衛する(感染症から予防)効果だけでなく、社会を防衛する(感染症から予防)効果もあるということを良く理解していただいて接種を勧めなければならない。

 
4.保険証のマイナンバーカードへの移行について

令和6年12月2日以降、健康保険証が新規発行されなくなり、マイナ保険証(健康保険証の利用登録を行ったマイナンバーカード)によりオンライン資格確認を行う事になった。受診時に保険証を持参できない場合には、医療機関の裁量によるが、原則10割負担して、保険者情報を後日提示して当該医療機関から還付を受けることになる。
保護者に代わって職員が園児を連れて医療機関・薬局を受診する事がある。①マイナポータルに表示された被保険者資格情報のPDFファイルをあらかじめダウンロードしたもの、またはその印刷物、②資格情報のお知らせ、その写しを事前に預かっておき、医療機関・薬局に提示して受診することができる。

 
5.5歳児健診について

5歳児健診では、小学校入学に備えて発達のバランスの悪さや日常生活で困難さが気になるようになる。この状態は発達障害(発達障がい)または神経発達症と呼ばれている。その対応策について考えてみる。盛岡市でも健診事業の実施に向けて準備中である。

1)子育てをしている時に気になることはありませんか。

[参照:岩手県いわてこども発達支援サポートブック~こどもの成長によりそった子育て~]
①コミュニケーションや表現がうまくできない。②外出先や公園などで忙しく走り回る。③大人などの身振りのまねをしない。④大人が相手になっても喜ばない。⑤自分の好きなものがあると、他への切り替えができない。⑥“ごっこ”遊びができない。⑦身の回りのこと(着脱、排泄、片付けなど)がなかなか身につかない。⑧特定の物に執着する。⑨物音、振動、光などに敏感(感覚過敏)で必要以上に怖(こわ)がる。
 
2)発達障がいが心配になったら、一人で悩まないで、幼稚園や専門機関に相談しましょう。子どもの気持ちに寄り添って対応します。⇒は対応例です。

① 特定のものに興味が強い場合⇒子どもの安心感を尊重しながら、ゆっくりと関心をひろげよう。

② いつもと違うことに戸惑う場合⇒予定の変更は事前に繰り返し伝えておこう。

③ 活動の切り替えに苦手な場合⇒活動を分かりやすく、絵を使って伝えよう。

④ 生活の習慣づけが苦手な場合⇒声かけでは記憶に残らないので、習慣づけしたい事柄を絵に書いてカードにして渡す。できたらたくさん褒(ほ)めよう。

⑤ 落ち着いていられない場合⇒静かで落ち着ける環境に移動する。落ち着いて出来るようになったら褒め、出来なくても咎(とが)めない。少しずつ成功体験を増やそう。

⑥ 好きなものの前ではルールを忘れてしまう場合⇒根気よくルールを身につけさせよう。守れたら褒めよう。