園医から

※子どもたちの健やかな成長を願って!
2020年8月・9月合併号
赤坂 徹

 
 

1.新型コロナウイルス感染症について
 

岩手県でもコロナの患者さんが初めて診断され、8月21日現在で11名になりました。
何もない所から突然湧き上がってくるものではなく、詳細が不明なウイルスが人の体の中で増えて移って拡がったものです。
今の時点で私達ができることで対応しましょう。
 

1)岩手県でも患者さんが増加している状況での対応

主な感染経路は飛沫感染、接触感染ですので、その対策として、マスク、うがい、手洗いを励行し、3密(密閉、密集、密接)を防ぐことです。換気の悪い密閉空間、多数が集まる密集場所、近距離で会話をする密接場面がそろうと、クラスター(感染者集団)発生のリスクが高まります。コロナ感染が蔓延している関東や関西の地域から移動されてきた方々との接触がありそうな駅やショッピングセンターへの外出は可能な限り避けましょう。
高齢者と持病(心臓病、糖尿病、肺疾患など)のある人は重症化しやすいのですが、年少児の死亡例も報告されています。潜伏期間は1~14日で、発熱、咳、喉の痛み、息苦しさ、だるさが主な症状ですが、風邪や気管支炎のような呼吸器感染症と同様で、症状のみでは診断が困難です。咽頭粘液や唾液から検体をとりPCR検査、抗原検査、抗体検査で診断されます。現時点でも決定的な治療法はなく、ワクチンなどの予防法が待たれます。
感染症対策として、規則正しい生活、バランスの取れた食事、運動と睡眠が基本です。
 

2)岩手県ではコロナ感染が疑われた時・診断された時の対応

かかりつけ医に電話をして県内10カ所にある地域外来・検査センターで、もしくは帰国者・接触者相談センターに電話して県内37カ所にある帰国者・接触者外来でPCR検査、抗原検査を実施します。陽性の場合は重症度に応じて感染症指定医療機関が選択されて入院します。一時的に自宅で待機することになりますが、その期間は個室に隔離して、トイレなどの共有部分を消毒しましょう。症状が軽微であれば健康管理が可能な宿泊施設、軽症から中等症は指定医療機関、呼吸困難などの重篤であれば人工換気機器とスタッフが常備されている専門医療機関に入院することになります。
 

3)通常の小児科診療について

このような時ですが、病気に罹ったらかかりつけの小児科医を受診し、必要とされる乳幼児健診、予防接種は必ず受けましょう。新型コロナウイルス感染症だけが病気ではありません。受診時には付き添いの大人もマスクをしましょう。受診理由を予めメモにしておくと聞き洩らしがありません。発熱が始まってからの体温の変化、下痢、嘔吐であれば便や吐物の性状や回数も診断・重症度の判定に役立ちます。

 
 

2.食物アレルギー
 

食物アレルギーは食物の好き嫌い、食べ過ぎ、食中毒で起きるものではなく、アレルギーが原因で特定の食物に特別な症状を現します。食べて嘔吐しただけでは食物アレルギーとは診断されません。食物アレルギーの診断は詳細な病歴(症状の経過など)によります。診断の参考になる症状には、食べて直ぐにくちびるやまぶたが腫れたり、痒みを伴った蕁麻疹や湿疹などの皮膚症状、息苦しさ、ぜんめい(ゼーゼー、ヒューヒュー)や咳込みなどの呼吸器症状、嘔吐や腹痛などの消化器症状、全身に色々な症状を引き起こします。意識がなくなり、血圧が下降し倒れてしまうようなアナフィラキシー・ショックは救急搬送が必要になります。原因として、年少児であれば牛乳、卵白、小麦、大豆などの食品、年長児になると、これらに加えてカニ、エビなど、ソバ、ピーナッツによるものも見られます。特定の食品と症状の関連性を明らかにすることが重要で、血液検査による特異的IgE(RAST)検査はあくまでも診断の参考であり、食物アレルギーのスクリーニング検査にはなりません。思い込みで勝手に食品を制限してはいけません。現在は必要最小限の食事を除去しています。より正確で実際的な診断は食物負荷試験により実施されます。原因と思われる食品を少量ずつ摂取させ、症状がないのを確認して摂取量を増量していきます。その量を負荷して治療に結び付けて経口免疫療法を開始します。ここで急速に増量するとアナフィラキシーを引き起こす危険があるので、専門医療機関のみで実施されています。かかりつけの小児科医にまずご相談いただき、専門医療機関を紹介してもらいましょう。